はじめに
こちらの記事はZOZOの田端信太郎氏と「下流老人」の作者で知られる藤田孝典氏のTwitter上での議論をまとめたものです。どういう内容かざっくばらんに言うと「富裕層から多くの税金を取ったら貧困層の人にちゃんとお金が回ってくるのか?」というものです。
議論の始まり
事の発端はZOZO前澤社長のつぶやきから起こりました。
2016年度77億円、2017年度34億円、2018年度70億円(予定)。個人での国内における所得税や住民税などの納税額です。買い物もするけど、税金もしっかり納めております。これからももっと稼いでいっぱい買い物して、いっぱい納税します!
— Yusaku Maezawa (MZ) 前澤友作 (@yousuck2020) 2018年10月4日
普通にすごいですよね。年間70億円の税金って・・・(唖然)これからもいっぱい稼いで日本に税金を納めて下さい!・・・といいたいところでしたがそれに対してある方のツイートが話題になりました。
「下流老人」の作者で有名な藤田孝典氏です。
ZOZOTOWN前澤社長のように、普通は開示しないから見えないだけで、年収が一億円を超える富裕層は就労収入ではなく、株や不動産、運用による資産収入が大半。いわゆる「不労所得」であり、ここに課税強化しなければ社会保障は回らないし、消費税増税の合意も形成されない。税が安すぎるよ。
— 藤田孝典 (@fujitatakanori) 2018年10月5日
なんと前澤社長の支払う税金が安すぎると主張しているんです。年間70億円も支払っているのに⁉
このツイートにZOZOでコミュニケーションデザイン室長を務める田端信太郎氏はこう議論を吹っ掛けます。
いっそのこと「不労所得」とやらは税率100%にしたら?とか具体的な税率の提案が欲しいですねー。 https://t.co/2hrYPtAYkV
— 田端@田端大学塾長である! (@tabbata) 2018年10月8日
すると藤田氏からは思いもよらない返信が・・・。
提案しろ、対案を出せ、は様々な意見、民主的な議論を妨げるからやらない方がいい。議論しても提案しても、現実の税制や社会システムは労資の力関係が決める。だから大枠を指し示して世論喚起したり、考える労働者を増やせればいい。 https://t.co/PkHjB4EOyi
— 藤田孝典 (@fujitatakanori) 2018年10月8日
一言でいうなら「対案を出せとか言うな!」ってことですかね。すると田端氏はこう煽ります。
確かに、対案を出す義務はないし、意見を言うのは自由だけど、対案を最初から考える気のない奴の意見が軽視され影響力を実社会で持ち得ないのは当然でしょうね。 https://t.co/wMmCknsLt8
— 田端@田端大学塾長である! (@tabbata) 2018年10月8日
これは議論が苦手なボクにとっても耳が痛い話です。相手に反論するときスムーズに対案を出せる人間になりたい・・・。田端氏は徹底的に藤田氏を議論で追いつめます。
へーっ全ての国民は主権者なのに、対案なくていいのですか? 対案を考えるのは自分ら貧困層は関係ないと?。今の日本って資本家とか、経営者とか労働者とか貧困層とか、生まれながらに決まってるんですっけ?そういう頭を使わない態度が本人の可能性を狭めて貧困層のままにしてるのでは? https://t.co/wMmCknsLt8
— 田端@田端大学塾長である! (@tabbata) 2018年10月8日
もうボコボコやんけw
しかし藤田氏も必死に食らいつきます。
大枠では出していますよ。それでいいのです。各論は労資の力関係が決めるから。提案しても資本に対する労働組合、労働者の力が弱ければ、今まで通り無視が続いて格差拡大しますし。熟議より団体交渉などの行動が大切。 https://t.co/UXLknuc3pQ
— 藤田孝典 (@fujitatakanori) 2018年10月8日
熟議より、団体交渉=デモのことを言ってるんでしょうかね。すると田端氏、
税制や税率は国会において決めるもんであって、労使の力関係は無関係では? そもそも現在の税制も国会で有権者の多数派の代表が決めたものですよね?意見を言うのはいいけど、出発点がそこにあることすら否定なさります? https://t.co/FZ2vPgZWnH
— 田端@田端大学塾長である! (@tabbata) 2018年10月8日
田端氏、少しの反撃も許しません。議会制民主主義ですね。てか、これ中学校社会レベルの話だよね。
「税制や税率は国会において決めるもの」というのは見せかけなんです。国会審議前にほぼ力関係で決まっていますから。政治主義が浸透しているから、そう見える方は多いと思います。 https://t.co/kQMNVVJpfn
— 藤田孝典 (@fujitatakanori) 2018年10月8日
あくまで国会審議前に税制や税率は力関係で決まっていると主張する藤田氏。
じゃあ武力革命でもします? https://t.co/Jkfy8KDkSA
— 田端@田端大学塾長である! (@tabbata) 2018年10月8日
田端氏、痛烈な皮肉。なんだか旧ソ連っぽいwさらに議論は日をまたいで続きます。きっかけはこのツイート。
以前からあるけれど、資本家や不労所得への課税強化は社会保障を向上させるための必須条件ではないにせよ、必要条件なので、相手方からの必死の反論や抵抗が面白い。本来は資本主義社会なのだから、こういう議論や団体交渉で剰余価値を奪い返す実践がたくさんあるといいな。
— 藤田孝典 (@fujitatakanori) 2018年10月9日
ちなみにここで藤田氏が言う剰余価値とは後に出てきますが、未払い賃金のことを指しています。すると田端氏
「剰余価値を奪い返す」とやらを実現するためには、国会での議論を通じて、実際の税制と税法が変わらない限り、1円たりとも動きませんよ。何を希望的な観測でオナニーしてるんでしょうか、この人はw。 https://t.co/WctLrkQsSd
— 田端@田端大学塾長である! (@tabbata) 2018年10月9日
すると藤田氏
オナニーなら労働者への未払賃金(剰余価値)を搾取しなくて済みますが、資本は労働力を搾取して社会還元もまともにしなくなっているんです。オナニー以下だと言わざるを得ないと思いますよ。過労自殺をめぐる自己責任発言も然り、労働者へ還元せずに放蕩を繰り返す醜悪な姿といい異常だと思わなきゃ。 https://t.co/8knWVP4Evu
— 藤田孝典 (@fujitatakanori) 2018年10月9日
未払い賃金?いったい何かデータがあるのでしょうか。すると田端氏は藤田氏を優しく諭します。
ま一般論ですけど、もし、本当に不当な未払い賃金があるなら、労基署でもなんでも駆け込んだらどうですか? https://t.co/a6hTaAuYd2
— 田端@田端大学塾長である! (@tabbata) 2018年10月9日
まあ、不当な未払い賃金があるときはこれがデフォルトですよね・・・。すると藤田氏は
わかる人には未払賃金、剰余価値の意味がわかると思います。昔の資本家や側近は資本論くらい読んでいました。社会のことも少なからず考えていました。だから格差が少ない社会でした。こういう人々と怯まずに闘いましょう。まずはユニオンに加盟を。 https://t.co/TFnLbooltQ
— 藤田孝典 (@fujitatakanori) 2018年10月9日
あ、藤田氏って資本論読んでたんか・・・。どうりで共産主義っぽいなと。すると田端氏はこう返します。
世の中のほとんどの労働者は、いまどきマルクス経済学に興味ないだろw
だから、あんたらはいつまでも多数派になれないのwww。僕もユニオンに入るね♡! https://t.co/yF8M8f171G— 田端@田端大学塾長である! (@tabbata) 2018年10月9日
田端氏、ユーモアを忘れません。しかしこのあとも藤田氏はひたすらZOZOのことを揶揄し続けます。
簡単に資本主義を考える良い事例だから取り上げてみたらいい。資本家は働いていないのにどうして月に行く多額の貨幣を捻出できるのだろうか。それは多数の過酷な労働者が毎日毎日不払い労働による剰余価値を生み、膨大な搾取が成立しているから。労働者の犠牲を忘れた資本家は醜悪。
— 藤田孝典 (@fujitatakanori) 2018年10月9日
流石にもういいのではないでしょうか(笑)というか何故、前澤社長が働いていないと断言できるのでしょうか。しかし田端氏は藤田氏に優しく絡みます。
シンプルに質問です。おそらく藤田さんの想定だと、「資本家」とやらの人数より、「労働者」とやらのほうが多数派なんですよね? そうだとしたら、おっしゃるような不正義や不当な搾取が、1人1票の議会制民主主義での立法を通じてどうして正されないのですか?素朴な疑問について教えてほしいもです。 https://t.co/4Fod6afuMU
— 田端@田端大学塾長である! (@tabbata) 2018年10月9日
また議会制民主主義の話になりました。てかこれ何度も言うけど中学生レベルの話なんだよなぁ・・・。すると藤田氏は
繰り返しますが、政治や議会以前に、現実の資本と労働者との力関係を中心として、立法や行政が執行されるからです。現在は資本と労働との均衡が著しく崩れている時代です。だから政治や議会では声が反映されなくなっているし、日本だけではなく、世界各地でも同様です。世界情勢見てくださいね。 https://t.co/8LigIeqxEv
— 藤田孝典 (@fujitatakanori) 2018年10月9日
あくまで現実の資本と労働者の力関係が立法に影響していると主張する藤田氏、田端氏は
ではどうすればいいのですか?議会制民主主義がダメなら武力革命ですか? https://t.co/0P9Gmdw3s6
— 田端@田端大学塾長である! (@tabbata) 2018年10月9日
すごい、議論が全然進んでいない!てか、藤田氏は具体案を出さずに文句だけ言ってる。その後、田端氏は藤田氏が代表を務めるNPO法人の職員の月給を突き止めます。
月給17万円でフルタイムの職員を募集しておいて、あらまぁ立派なこと。https://t.co/wbLIyKMRAB https://t.co/XRkEqdVfGn
— 田端@田端大学塾長である! (@tabbata) 2018年10月9日
すかさず藤田氏は反論します。
よく古いデータを調べましたね(笑)今は約20万円まで引き上げていますね。障害者福祉事業、生活困窮者支援事業はだいたいこんなもんです。だから繰り返しますが、税や保険料による再分配を求める気持ちがわかるでしょ。強欲でケチな資本家の国では社会福祉もまともに成立しないのよ。 https://t.co/2GnSIjcHs1
— 藤田孝典 (@fujitatakanori) 2018年10月9日
それでも20万か・・・。田端氏は痛烈な一言を放ちます。
たったの月給20万円ですか? まずは、他人をとやかく言う前に、ご自分がNPOの代表理事として、職員に還元なさるところから始めたらどうです? https://t.co/qkvZiTX0Bs
— 田端@田端大学塾長である! (@tabbata) 2018年10月9日
もうやめて!藤田氏のライフはゼロよ!もう勝負はついたのよ!
もうアホすぎ。社会福祉の報酬単価、支給基準は厚生労働省、自治体基準ですよ。いわゆる「経済秩序外」の市場原理が社会福祉に働くわけないでしょう。低賃金だと思うなら、税や保険料による再分配に賛同すべきだし、子どもじゃないんだから闇雲に非難すべきではない。 https://t.co/Iu9V11UiMj
— 藤田孝典 (@fujitatakanori) 2018年10月9日
藤田氏はあたかもうちの職員が低賃金なのは自分のせいじゃない、国のせいだと。
田端氏がここで一言
要するに、自分のとこの職員がワープアでも俺のせいじゃねえ!とw https://t.co/YXgDOWhUSL
— 田端@田端大学塾長である! (@tabbata) 2018年10月9日
ハッキリ言っちゃいました。すると藤田氏は吹っ切れたのか
間接的には俺のせいだからあんたらと闘っている(笑)あくまで税や保険料による再分配を希望している。間もなく全産業労働者のうち一位を占める低賃金で社会を支える尊い福祉労働者、介護労働者を敵にしない方がいいですよ。 https://t.co/xMygLkb7YF
— 藤田孝典 (@fujitatakanori) 2018年10月9日
あくまで自分のせいではない、富裕層が、国が悪いんだと主張します。
田端氏は最後、藤田氏にこう問いかけます。
僕を負かしたら、福祉労働者、介護労働者の賃金が増えるんですかね??? https://t.co/KI3AgCiERk
— 田端@田端大学塾長である! (@tabbata) 2018年10月9日
ここで議論は終わっています。
まとめ:今回まとめたのは二人のファンだから
ここまで好き勝手に書いてきましたが何故今回まとめたのかというとボクは田端さんと藤田さん両方のファンだからなんですよ(笑)若干田端さん寄りでしたが。
田端さんの「MEDIA MAKERS」や「ブランド人になれ!」も読んでましたし
藤田さんの「下流老人」も愛読していたくらいですからね。
だから今回、ドキドキしながらお二人の議論を拝見していました。
二人の言うこと両方とも理解できるからなおさらドキドキするんですよね。
長くなったけど、これで終わり!
追記:第二ラウンド勃発!
その後、二人の間でまた議論が勃発したので気になる方はそちらもご覧ください。